会社員の時とは違い、フリーランスになると自分で確定申告の手続きを行う必要が出てきます。そしてフリーランスの人が確定申告を行う場合、「青色申告」と「白色申告」といった2種類の申告方法があるのです。
そして青色申告で確定申告をしたい場合、事前に開業届を提出しておくなど、いくつか手続きをしておく必要があります。
こちらの記事では少し複雑な青色申告の手続きの方法、また青色申告にした方が良い人について詳しく紹介します。確定申告の手続きに困っているフリーランスの人はぜひこちらの記事を参考にしてくださいね。
目次
青色申告とは
はじめに青色申告と白色申告の違いは何なのか、詳しく紹介します。
青色申告とは
青色申告とは不動産所得、山林所得、そして事業所得を持っている事業者が仕事で行っている取引を帳簿に記録し、最後に確定申告書に記載して申告する制度のことです。青色申告の場合、原則として複式簿記で帳簿を記載する必要があるため、白色申告よりも帳簿を書くのに手間と時間がかかります。複式簿記とは、取引を複数の科目で記載する方法のことです。
選択する青色申告によっては複式簿記ではない単式簿記を選ぶこともできますが、控除額が65万円と大きいのは複式簿記です。
そしてフリーランスの人が青色申告で確定申告をする場合、事前に税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出しておく必要があります。そして原則として青色申告承認申請書は開業してから2ヶ月以内に提出する必要があります。
開業届の提出期限は、青色申告承認申請書より早く、原則として開業日から1ヶ月以内です。しっかりと確認しておきましょう。
参考記事:フリーランスは開業届を出すべき!メリットと記入方法を教えます!
白色申告との違い
白色申告とは、青色申告承認申請書を提出しておらず、青色申告での確定申告をしない人が行う方法です。青色申告と比較して白色申告の方が簡単に確定申告を行えます。また青色申告のように事前申請をする必要もありません。また青色申告のように複式簿記で記載する必要がないので、帳簿づけは青色申告より簡単です。
ただし白色申告の場合、青色申告にある税金の特別控除といった特典がありません。そのため節税効果は低く、青色申告だったら支払う必要のない税金を支払わなければいけません。
青色申告のメリット
白色申告と比較した時、手間と時間はかかってしまいますが青色申告を選択した方が節税効果のメリットは高いです。そもそもフリーランスの人が確定申告をすると、白色と青色どちらであっても年間所得38万円まで所得がかからなくなります。
そしてさらに青色申告の申告方法は2通りあります。「10万円控除」か「65万円控除」です。なのでもし65万円控除を選んだ場合、最大103万円まで節税対策を行える可能性があるのです。
また2013年までは白色申告の帳簿づけは今と比較してとても簡単なものでした。しかし2014年より白色申告も帳簿づけが義務化され、申告の手間は増えました。
義務化された白色申告の手間が増えたことから考えると、青色申告の帳簿づけに手間と時間をかけ、節税対策に励んだ方が実質かけた時間に対する金銭面のメリットは大きいです。
フリーランス一年目の青色申告での確定申告は大変な作業かもしれません。しかしフリーランスの先輩に聞いたり、インターネットで帳簿づけの方法を調べればできない手続きではありません。
青色申告したほうが良い人とは
つづいてフリーランスの人の中でも青色申告を選んだ方が良い人の特徴を詳しく紹介します。
白色申告ではなく青色申告を選んだ場合、またそこから青色特別控除額を10万円にするか65万円にするか選びます。そして65万円を選んだ場合、複式簿記になるだけではなく、様々な特典がつくのです。
以下4つが青色特別控除額65万円を選択した時についてくる特典です。特典の恩恵を受けられる人はこちらを選ぶのをおすすめします。
①:特別控除
「特別控除」は基礎控除額38万円にプラスして青色特別控除額65万円の控除が受けられる特典です。青色申告を選んだ方が良い人・・・38万円以上の所得がある人
②:青色事業専従者給与
「青色事業専従者給与」は家族で仕事をしていて配偶者、もしくはその他の親族に給与を支払っている場合、一定の要件が満たされていればこの青色事業専従者給与を受けることができます。通常家族で事業を行なっている場合、一緒に生活している家族に支払われている給与は経費としてあげることができません。しかし青色申告を選んでいる場合に限って、必要経費にあげられる可能性があるのです。
青色申告を選んだ方が良い人・・・一緒に暮らしている家族と事業をしているフリーランスの人
③:貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)
「貸倒引当金」とは、売掛金や貸付金など、お金の債権が将来回収できないと予想できる時に、回収できないと見込んだ金額をあらかじめ見積もって計上しておくものです。そして貸倒引当金は貸し倒れる可能性のある債権として、必要経費として認められます。つまり経費としてあげることができるため、節税効果が見込まれるのです。
青色申告を選んだ方が良い人・・・貸倒引当金を計上する必要がある人
④:純損失の繰越しと繰戻し
「純損失の繰越し」はその年の事業で赤字になってしまった時、その赤字を次の年以降、以後3年間まで繰り越して所得を控除することができることです。また「純損失の繰戻し」はその年の赤字を前年に繰戻し、黒字だった時に支払った所得税を戻してもらうことです。
青色申告を選んだ方が良い人・・・事業で赤字を出してしまう可能性のあるフリーランスの人
以上4つの特典を受けた方が良いと思われる人はぜひとも税務署に青色申告承認申請書を提出して青色申告を選んでくださいね。
青色申告に必要な書類4つ
つづいて青色申告で確定申告をする時に必要になる4つの書類を詳しく紹介します。①:確定申告書Aもしくは確定申告書B
まずは確定申告のために申告書が必要になります。そしてフリーランスの人の場合、必要になるのは「確定申告書B」です。確定申告書Aは主に会社員や年金所得者などが使用する申告書です。給与所得や雑所得、配当所得に一時所得といった所得がある人だけで、予定納税額のない人が利用する申告書です。
確定申告書Bは事業所得や不動産所得など所得の種類を問わず基本的に誰でも使用することができる申告書になります。
確定申告書Bは項目がとても多いですが、自分に当てはまるもののみ記入すれば良いということを覚えておいてください。
②:青色申告決算書
青色申告決算書は日々の帳簿づけの結果を決算書の形式で書き、確定申告の時に必ず提出する書類です。青色申告決算書は「一般用」と「農業所得用」と「不動産所得用」があります。そしてフリーランスの人は一般用の青色申告決算書のみ記入すれば大丈夫です。
そして青色申告決算書は損益計算書1枚、損益の内訳の記入書2枚、貸借対照表1枚の4枚とそれぞれの控えで構成されています。ただし10万円の控除を選択した人は貸借対照表は必要ありません。
③:受けたい控除を受けるための証明書
所得控除や税額控除を受けるためには、その受けたい控除の証明書が必要になります。以下が必要な証明書の一部です。・医療費控除
医療費控除の内訳がわかる書類、また医療費の領収書、もしくは明細書が必要になります。
・社会保険料控除
社会保険料、もしくは国民年金保険料の控除証明書、また国民年金保険料の支払いが確認できるものが必要になります。
・生命保険料控除
生命保険控除証明書が必要になります。そして税制改正の影響のため契約した期間によって控除される内容の金額は変わります。
④:必要経費の領収書
所得控除を申請したい時には、必要経費として計上できるものの領収書が必要になります。ただし会計ソフトなどを使用したりすると電子帳簿での保存なども可能です。また法人用クレジットカードを使用している場合も領収書が不要になるケースがあります。
⑤:源泉徴収票
フリーランスの人の場合、「源泉徴収票」は必要になる場合とそうでない場合があります。源泉徴収票にはその年の年収、またすでに支払った税金の金額が記載されています。そしてフリーランスの人の場合も正社員ではない形でどこかに勤務していたり、給与や報酬をもらっていたりする場合発行されます。
以上の青色申告に必要な書類を用意して、確定申告の手続きを行ってくださいね。
青色申告におすすめの会計ソフト2選
最後に青色申告の手続きをサポートしてくれるおすすめ会計ソフトを2つ紹介します。
①:クラウド会計ソフトfreee
「クラウド会計ソフトfreee」は所得控除のために必要な領収書をスマホを撮影し、スキャンで取り込むことができたりする、確定申告に必要な手続きの作業を簡単にしてくれる会計ソフトです。クラウド会計ソフトfreeeであれば青色申告書も簡単な質問に答えていくだけで作成することができます。また青色申告承認申請書、開業届けも同じように、簡単な質問に答えるだけで作成してくれます。
クラウド会計ソフトfreeeは確定申告の知識に自信がない人でも書類を作成することができる会計ソフトです。
②:MFクラウド確定申告
「MFクラウド確定申告」はシンプルで使いやすいのが魅力的なクラウド型会計ソフトです。また青色申告だけではなく白色申告にも対応しているので、フリーランスの人の確定申告全般をカバーしてくれています。青色申告の複雑な帳簿づけの作業も、MFクラウド確定申告には「簡単モード」というモードがあり、4ステップで入力の作業を終わらせることができます。
初めて青色申告をする人などに会計ソフトMFクラウド確定申告はおすすめです。
まとめ
フリーランス1年目の人にとって確定申告は大変な作業のようなイメージを受けると思います。また複式簿記である青色申告は、白色申告と比較してより一層難易度の高い作業に感じるのではないでしょうか。しかし会計ソフトなどを活用すれば青色申告もそこまで難しい手続きではありません。最大103万円の控除を受けることができる青色申告をぜひともやってみてくださいね。