フリーランスで仕事を請け負うと、消費税額が追加されていますよね。「そのまま受け取っているけどそのままにしちゃっていいのかな?」と感じる方もいるでしょう。本記事ではそんな疑問に答えていきます。
目次
そもそも消費税とは

商品の購入やサービス提供などの消費に対して課税されるのが消費税です。つまり商品そのものの金額に必ず消費税を上乗せする必要があります。そのため消費税は、業者も商品などを仕入れた段階で消費税を支払い、支払った額に応じて税を納付するのです。
例えばリンゴの流通が「農家→JA→スーパー」の流れの場合、農家は8円を納付し、JAは2円、スーパーは4円を納付します。最終的にリンゴは本体価格175円+消費税14円=計189円で消費者に売れました。農家・JA・スーパーが納付した合計税額 (8+2+4=14円) とスーパーでリンゴを買った人が負担した税額 (14円) は等しくなっていますね。最終的な消費者が消費税の全額を負担する仕組みです。
- 農家: 8円納付 (リンゴ1つ100円+消費税8円=計108円でJAに販売)
- JA: 2円納付 (リンゴ1つ125円+消費税10円=計135円でスーパーに販売)
- スーパー: 4円納付 (リンゴ1つ175円+消費税14円=計189円でリンゴがほしい人に販売)
フリーランスは顧客から消費税をもらうべきか?

結論から言うともらうべきです。商品の購入やサービス提供などの消費に対して課税されるのが消費税です。つまり、何でも販売したらその価格に消費税を載せなければならない決まりとなっているのです。ただし、この決まりと納税義務の有無は別の話。「消費税はもらっても納税義務は免除」となる条件があり、「消費税をもらっているからもらった税は全部税務署に納付しなければならない」というわけではないのでご安心ください。
これからフリーランスと消費税の関係について詳しく解説していきます。
フリーランスは消費税をもらっていても納税しなくて良いのか

消費税をもらって納税する必要があるのは次の場合のいずれか1つに当てはまった場合です。
- 2年前の課税売上高が1,000万円を超えた
- 1年前の1月1日から6月末までの課税売上高や給与支払額などが1,000万円を超えた
フリーランスにおける消費税の扱い

フリーランスは役務の提供料に消費税を上乗せすることになります。例えば時給3,000円で契約したら1時間あたり240円の消費税を上乗せして1時間あたり合計3,240円を請求してください。
「1,000万円未満は消費税を払わなくていいなら、クライアントに消費税を請求するのは気が引けるな」と感じるかもしれませんが、ここは冷静に考えてみましょう。
例えば、仕事に不可欠なパソコンや息抜きのコーヒー。本体価格だけでなく消費税も払って購入していますよね。あなたはすでに仕事をするための必要経費として消費税を払っています。そうして手に入れた道具を使ってクライアントからの仕事を請け負っているのです。
「そもそも消費税とは」の項で説明したように、「消費税を全額負担するのは最終的な消費者」です。クライアントはあなたにとっての最終消費者ですから消費税はきちんと全額取りましょう。
消費税を納税しなければいけない場合とは

- 2年前の課税売上高が1,000万円を超えた
- 1年前の1月1日から6月末までの課税売上高や給与支払額などが1,000万円を超えた
納付額の計算方法
「売上高の消費税額 (クライアントからの徴収額)」-「仕入れで支払った消費税額」=「税務署への納付額」となります。まずはクライアントからの報酬を消費税込みでもらっておくのが大前提となります。フリーランスであれば、仕入れに相当するものは通信費や新聞図書費、広告宣伝費などが当てはまります。請求書を送るときは税抜き?税込み?

そもそも請求書は報酬を受け取るために発行するものです。消費税が「サービス提供などの消費に対して課税される」と定義されている以上、請求書には必ず消費税も記載して請求しましょう。8%という数字は小さいように思えますが、それを1年間続けると万単位で差が出てきます。あなたも仕事をする上で必要なものを消費税を払って買っている以上、クライアントにも消費税を負担してもらいましょう。
請求書をクライアントに送付する際は、単価を税抜きで記載し、小計の後ろに消費税額を表示する形が多いです。「単価を税抜き、小計の次に合計の消費税額を記載」、と覚えておくとよいでしょう。
確定申告のときは、消費税はどうすればいいのか

確定申告と消費税の関係、気になりますよね。そもそもの話として、消費税が免除される条件を紹介したように、確定申告が免除される条件もあるのです。1月1日~12月31日までの課税売上高が1,000万円以下であれば消費税の納付は免除となります。
確定申告とは
1月1日~12月31日までの1年間の所得を確定し、その所得にかかる税金を払うための手続きです。翌年の2月16日~3月15日までに税務署へ行って確定申告と納税を済ませるのです。確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、白色申告の方が帳簿付けが簡単なので、フリーランスになって日が経っていない方や、所得の少ない方におすすめです。青色申告は、帳簿付けが難しいのですが、最高65万円の特別控除が受けられるようになっています。
しかし、会計ソフトなどを活用すれば、青色申告もそこまで難しい手続きではありません。
関連記事:フリーランスの必須知識!青色申告の方法と簡単会計ソフトを教えます!
確定申告が免除になる場合
専業でのフリーランス (税務署の区分では「個人事業主」扱い) をしている場合、1月1日~12月31日の1年間で所得が38万円以下は確定申告が免除となります。また、副業としてフリーランスを行っている場合、1年間の所得が20万円以下である人も確定申告の必要はありません。今年会社員からフリーランスに転向した場合、来年の確定申告は?
例えば2017年9月に退職して、2017年10月からフリーランスで働き始めたというという方。2018年2月16日~3月15日までに確定申告が必要です。給与所得と事業所得を記載した申告書を提出しましょう。給与所得には会社からもらった給与所得の源泉徴収票の記載額を基に申告書に記入して源泉徴収票を添付して提出します。フリーランスとしての所得は事業所得として (準備中も含む) 収支内訳書に収入と必要経費などを記載して収支内訳書を申告書に添付して提出します。
消費税は忘れず請求しよう

「労働対価に消費税をつけるって?」とイメージがわかなかった方も、パソコンなどの仕事道具にすでに消費税がかかっている、と考えれば納得できますね。また、売上の8%ということも積もり積もればかなりの金額差が開きます。消費税は、「ものやサービスの消費にかかる税金」です。あなたは、常日頃消費税も支払って仕事に必要な道具を揃えています。クライアントはその消費者となるわけですからしっかりと請求しておきましょう。