フリーランスと会社員で違うのは働き方だけではありません。税金対策や保険、また年金といった手続きをフリーランスは会社員と違い全て自分で行う必要があるのです。
フリーランスの場合自分の老後の備えなどについても自分で計画を立て、準備をしておく必要があります。会社員である人たちよりもフリーランスは自分の将来を見越しておく必要があります。
こちらの記事ではフリーランスの時の年金の支払いについて、また年金の種類などを詳しく紹介します。
目次
フリーランスと会社員の年金の違い
具体的にフリーランスと会社員の年金はどういった点が違うのか、詳しく紹介します。
まず会社員とフリーランスでは加入している年金の種類も違います。会社員の人が加入している年金は「厚生年金」です。そしてフリーランスの人が加入する年金は基本的には「国民年金」になります。
そしてフリーランスの人が加入する国民年金は基礎年金とも呼ばれ、日本に住んでいる私たちの基本的な、最低限の保障となります。そして会社員の人が加入している厚生年金は、国民年金保険料が内包されています。
またフリーランスの人が加入する国民年金の場合、所得や収入が変わっても支払う金額は変わらず一定額となっています。しかし会社員の人が加入する厚生年金の場合その人の収入によって支払う金額は変動します。
厚生年金は収入が増えるほど保険料も高くなります。しかし支払った保険料が高くなるほど老後に受け取れる年金も高くなります。なので収入の高い会社員の人は自分で管理をしなくても、収入が高くなればなるほどに老後の保障が手厚くなっているのです。
このようにフリーランスの人が加入する国民年金と、会社員の人が加入する厚生年金では、たとえ同じ収入であっても老後に受け取れる年金の額に違いが出ます。
しっかりと老後に備えを蓄えておきたいと思っているフリーランスの人は、国民年金と併用できる「確定拠出年金(個人型)」や「小規模企業共済」などに加入することをおすすめします。
「国民年金」とは
つづいてフリーランスの人が加入する国民年金について詳しく紹介します。
国民年金とは
「国民年金」とは日本国内に住んでいる20才から60才までのすべての人が加入する、公的年金制度のことです。そしてこの国民年金を支払う目的は老後の生活扶助、また思いがけない事故や病気などで障害者になってしまった時の保障、さらに自分が死んだ時、遺族に対して支払われる保険料のためです。
フリーランスになるために会社を退職したとき、会社で厚生年金に加入していた人は厚生年金から国民年金に切り替える手続きを行う必要があります。厚生年金の脱退手続きは辞める会社がしてくれますが、国民年金の加入手続きは自分でしなくてはいけません。
国民年金に切り替える手続きは住んでいる市区町村役場で行います。年金手帳と退職年月日が分かる離職票や退職証明を必ず持っていきましょう。
フリーランスはいくら払うの?
それではフリーランスが加入する国民年金は月々いくら払えばいいのでしょうか。平成29年4月から平成30年3月までの国民年金の保険料は「16,940円/月」です。平成22年4月から平成23年3月までの国民年金保険料の月額は15,100円です。7年前と比較して現在1,840円値上がりしています。つまり年々国民年金保険料は値上がりをする傾向にあります。
国民年金保険料はその年の労働人口や平均寿命の伸び率といったデータを参照し改定率をつくり、その改定率をもとにした金額になります。
フリーランスの家族はいくらになる?
フリーランスの人が支払う保険料は分かりましたが、フリーランスの家族の場合、保険料はいくらになるのでしょうか。まず国民年金の場合、厚生年金と違い扶養という制度がなくなります。そもそも国民年金は20才以上の日本に住んでいる人、もしくは20才未満でも就職した人は加入することが義務になります。
なので配偶者がフリーランスになった場合、その被扶養者も国民年金に切り替える必要があります。また切り替えの手続きも自分でする必要があります。配偶者と一緒に市町村役場に行き国民年金に切り替える手続きをしましょう。
そもそも年金制度の中で扶養というシステムが成り立つのは配偶者が厚生年金、もしくは共済年金に加入しており、かつ被扶養者の年収が130万円未満の時だけです。共働き夫婦の場合、扶養というシステムを活用する機会はそもそもあまりありません。
前納するとどれくらい安くなる?
日本に住んでいる20〜60才までの人が必ず加入する義務のある国民年金ですが、その保険料を安くする方法があることは知っていますか?国民年金は前納することで通常より安く抑えることができます。前納とは納入期間期限よりも前に納めることです。つまり国民年金を早めに支払うことで保険料は割引されます。
平成29年4月から平成30年3月までの国民年金の月々の保険料、16,940円を基準にして前納した場合の割引される金額を紹介します。
現金、もしくはクレジットカード払いで前納した場合、6ヶ月前納で年間800円割引、1年分前納で年間3,510円割引、また2年分前納で年間7,200円割引になります。
そして口座振替で前納した場合、さらに割引になる金額は上がります。6ヶ月分前納で年間1,120円割引、1年分前納で年間4,150円割引、また2年分前納で年間7,850円割引されます。
前納する場合まとまった金額を準備する必要がありますが、必ず支払わなければいけない国民年金を割引できるので、貯金がある人は前納することをおすすめします。
その他知っておくべき年金の種類
国民年金だけでは老後の備えとして心配な人におすすめしたいのが、その他の年金制度を足して保障を手厚くすることです。
最後に国民年金以外の年金の種類を詳しく紹介します。
付加年金制度
「付加年金制度」とは、国民年金の保険料に一律400円の付加保険料を追加することで、老後などに受給できる年金額を増やす年金制度です。そしてこの付加年金制度に加入できるのは国民年金第1号被保険者、もしくは任意加入被保険者のみです。
つまりフリーランスである個人事業主は付加年金制度に加入することができますが、会社員や公務員など社会保険に加入している人は付加年金制度を利用できません。また第3号被保険者にあたる扶養に入っている被扶養者も付加年金制度を利用できません。
国民年金基金
「国民年金基金」とは任意で加入することのできる、国民年金に上乗せして受け取ることができる年金です。通常ではない会社員や公務員の人は、国民年金に上乗せされて「厚生年金基金」と「老齢厚生年金」に加入しています。そのため国民年金だけに加入しているフリーランスの人とは老後の保障などに大きな差が出てしまうのです。
そしてフリーランスなど個人事業主の人も国民年金に上乗せできる年金制度として、平成3年4月に国民年金基金はつくられました。国民年金第1号被保険者の人の中で老後の保障を手厚くしたい人のためにつくられた年金制度です。
また国民年金基金の場合、支払った金額はすべて所得控除の対象となります。なので所得税や住民税の負担を軽くすることができます。
民間の保険会社が提供している年金制度の場合、同じ雑所得という扱いにはなりますがこういった控除を受けることはできません。国民年金基金は節税効果も高いのです。
確定拠出年金(個人型)
「確定拠出年金(個人型)」とは簡単にいうと老後の資金をつくるための年金制度です。まず日本の年金制度は3つの年金で構成されています。そのため「3階建て」と呼ばれています。1階の部分は20才以上の人が加入する義務のある国民年金です。
そして2階の部分は会社員や公務員の人が加入する厚生年金にあたります。国民年金基金も2階部分といえる年金制度です。
そして3階の部分にあたるのがこの確定拠出年金(個人型)です。
会社員など企業に勤めている人の場合、企業年金と呼ばれる独自の年金制度が用意されていることがあります。また公務員の人の場合、職域加算という上乗せされる年金があります。今は年金払い退職給付という名前になっています。
そして確定拠出年金(個人型)は個人が3階の部分として積み立てることができる年金制度です。2017年1月からは確定拠出年金(個人型の対象者が大幅に増えたことを受け、「iDeCo(イデコ)」という名前に変わっています。
小規模企業共済
「小規模企業共済」は起業した経営者やフリーランスである個人事業主なども退職金、また事業が廃止された時に解約し、積み立ての掛金に応じた共済金を受け取れるようにとつくられた共済制度です。小規模企業共済を利用するメリットは多いです。まず共済金が戻ってくる時、掛金納付期間に応じて最大120%の金額が戻ってくることがあります。
また掛金は月1,000円から70,000円の間で500円刻みで自由に設定できるため、フリーランスになりたてで経済的に余裕がない人でも利用しやすいです。
さらに積み立てる掛金は全額経費の対象となるため節税対策にもなります。何かあった時のために積み立てをしておきたい人に小規模企業共済はおすすめです。
まとめ
会社員と違いフリーランスの場合、自分で年金や健康保険、税金などの手続きを行わなければいけません。しかし逆に言えば自分の好きなように老後の蓄えや保障をコントロールすることができ、またお金の勉強をするチャンスにもなります。
ぜひこちらの記事を参考にして、フリーランスの人は自分の収入に見合った年金制度を選んでくださいね。