「フリーランスという働き方には興味があるけど、手続きやお金の面でいろいろ心配。。。」
フリーランスという働き方が普及してきている昨今、会社員をやめてフリーランスへの転身を検討している人も増えているかと思います。ただ、フリーランスになると、いままで会社が対応してくれていた年金・税金・保険関連について自分で対応しなければならず、そしてそれらが実際にいくらぐらいかかるのかを不安に感じる人も多いかと思います。
今回は、フリーランスへの転身を検討している人に向けて、年金や税金、保険関連について、具体的にどのような手続きが必要で、実際にそれぞれいくらぐらいお金がかかるのかを詳しくご説明していきます。
目次
年間を通して払う税金について知っておこう
まずは全体感を理解しましょう。いつ、どのような種類の税金が、どれくらいの額でやってくるのか。これらはある程度事前に予測できることです。
下記のカレンダーをご覧ください。左側のオレンジ色の部分は、ほぼすべての人が支払う税金になります。それに対して、右側のグリーンの部分は一定以上の所得があった人のみが支払う税金になります。
以下で、それぞれの項目について、詳しく見てきましょう。
保険の切り替え
まず、日本の保険制度について簡単に理解しておきましょう。日本の健康保険制度は「国民皆保険」が基本です。つまり、国内に住所がある人は年齢や国籍に関係なく必ず何かしらの健康保険に加入しなくてはなりません。会社勤めをしていた人であれば社会保険に加入していた人が多いでしょうが、会社を退職した後には主に3つの選択肢があります。
それは、「国民健康保険」、「健康保険の任意継続」、または親族が加入する社会保険の被扶養者になれる人は「被扶養者異動届」の手続きをすることです。なお、3つ目を選択する人は少ないため、ここでは割愛します。
まずは国民健康保険についてご説明します。
国民健康保険への切り替え
国民健康保険への加入や脱退などの手続きは、住所登録のある市区町村役場で行います。注意すべきは、市区町村ごとに運営しているため、保険料の計算方法も住む市町村によって多少異なるということです。また、前年の所得によっても保険料が変動することを覚えておきましょう。手続きの具体的なステップ
それでは、具体的にどのように手続きを進めればいいのでしょうか。国民健康保険への切り替えは、社会保険の喪失日(退職日の翌日)以降にお住まいの市区町村で手続きを行います。手続きには「身分証明書」と「印鑑」、また「退職日が確認できる書類」が必要な場合があります。
退職日が確認できる書類とは、「社会保険の資格喪失証明書」、または「雇用保険の離職票」などです。ただし、これらの書類を必要としない市区町村もありますので、手続き前にご確認されることをおすすめします。
健康保険の任意継続に切り替える
退職後でも、会社員時代の社会保険を継続することも可能です。ただし、加入条件と期間について制約があります。(1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。
(2)資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
また、1日でも保険料の納付が遅れると翌日には強制的に脱退させられます。
手続きの具体的なステップ
手続きを行う際は、お住まいの住所地を管轄する年金事務所で、「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」、また扶養家族がいる場合は「健康保険被扶養者届」を提出します。繰り返しになりますが、退職後20日以内に手続きをしなくてはなりません。退職前から準備をしておきましょう。国保と任意継続、どちらにすべきか?
国民健康保険か任意継続かの選択は、退職された人にとっては頭を悩ませる問題です。それでは、どのように判断すればいいのでしょうか。まず、ひとつは保険料です。国民健康保険の保険料は市町村によって異なりますので、市区町村役場に身分証明書と前年の源泉徴収票、若しくは市県民税・特別徴収税額の通知書を持っていき、自分でシミュレーションしてみてください。そうすれば、あなたが国民健康保険料を把握することができます。
一方、任意継続の保険料の計算は各都道府県が決定した料率に、退職時の標準報酬月額をかけるという方法になります。例えば東京都(料率9.97%)にお住まいの人で退職時の標準報酬月額が200,000円の場合、19,940円が保険料の月額になります。年額にすると239,280円です。また、退職時の標準報酬月額が270,000円以上だと、東京都の場合保険料は27,916円(年額334,992円)になります。ここが上限です。
また、国民健康保険と任意継続では扶養に対する考え方が異なります。
国民健康保険には扶養という考え方がありません。一方、任意継続では条件さえ満たせば扶養家族として保険証を追加することができ、追加の保険料はかかりません。つまり、扶養家族が多い人であれば、任意継続を選択する方がお得になる可能性が高いです。
もしどちらが良いのか判断ができなければ、任意継続に加入することをおすすめします。一旦、国民健康保険に加入してしまうと任意継続への切り替えはできなくなるのに対して、任意継続から国民健康保険に切り替えることは可能なためです。
年金の切り替え
国民年金は、20歳になると誰もが強制的に加入するものです。60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた人には、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。年金に加入する人を第1号・第2号・第3号の3種類に分類しています。第1号被保険者:学生、無職、自営業者など国民年金のみに加入している人
第2号被保険者:会社員や公務員で、社会保険に加入し厚生年金を納めている人
第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者で、扶養家族として認められる人
フリーランスの場合は、第1号被保険者に該当します。会社員の場合は国民年金に加えて厚生年金にも強制加入となり、企業によっては企業年金にも加入することになります。つまり、会社員は、その分だけ受け取ることのできる年金額が上乗せされます。
しかし、フリーランスは基本的に国民年金にしか加入できません。1カ月あたりに支払う国民年金保険料は1万6000円程度と覚えておきましょう。
下の図のように、第1号被保険者は国民年金のみに加入し、第2号・第3号被保険者は(国民年金)+(厚生年金)に加入することになります。
画像参照:https://npfa.or.jp/system/about.html
手続きの具体的なステップ
会社を退職すると、社会保険(会社で働き始めた時に加入する「健康保険」「厚生年金」「介護保険」の総称)から脱退することになります。社会保険から脱退すると、厚生年金を国民年金(第1号被保険者)へ切り替える必要があります。厚生年金の脱退手続きは会社が行ってくれますが、国民年金の加入手続きは被保険者が自らが行わなくてはなりません。手続きはお住まいの市区町村役場で、退職年月日のわかるもの(退職証明、離職票など)、年金手帳(扶養ありの場合は、扶養配偶者分も)を持参してください。
住民税
住民税は住んでいる地方公共団体(都道府県や市町村)に納める税金です。地域社会の費用をできるだけ多くの住民に分担してもらう、という性格を持っている税金です。住民税には前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と、所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」を合算して納めます。画像参照:https://www.city.beppu.oita.jp/03gyosei/zei/shikenmin/aramashi.html
それぞれの税率と標準税額は、原則以下の通りです。
・所得割 市町村民税6%+道府県民税4%=合計10%
・均等割 市町村民税3000円+道府県民税1000円=合計4000円
個人の住民税は課税所得に対して一律10%と覚えておきましょう。ちなみに、所得割の計算方式は下記の通りです。
所得割額=(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除額
ちなみに、サラリーマンの場合、年末調整の時期に所得の証明書として源泉徴収票が発行されますが、この内容が勤務先から各住所地の市区町村に送られます。そしてこの前年の所得についてのデータをもとに、住民税の課税額が計算されるのです。
フリーランスの場合、確定申告が済み納税額が決定したら、市町村から決定通知書・納付書が届きます。年間の所得が一定金額を下回るときは、減額されたり全額免除になる場合もあります。その基準は自治体によって異なりますので、自分の管轄の市役所・区役所で確認をとってみましょう。
所得税
所得税は1年間の所得に対して国から課せられる税金のことです。累進課税のため課税所得(収入-経費)が高ければ高いほど納める税額も高くなります。1年間の所得合計が38万円を超えると、確定申告をして所得税額を算出し、国に納税する義務が生じます。ちなみに、「所得」と「収入」は異なります。「収入」とは売上金額で、年間500万円の売上があれば500万円すべてが収入となります。一方で「所得」とは、収入より必要な経費を差し引いた額を指します。そのため、必要経費を漏らさず計上して所得額を抑えると、節税効果が高まります。
税率は下記の通りです
画像参照:https://www.komonzeirishi.com/kakutei/knowledge/01_6.php
会社員などの給与所得のみの人は、所得税が給料から天引きされているのが一般的で、これを源泉徴収といいます。源泉徴収されている場合、1年間の最終的な納税額は会社で年末調整によって算出・納付(あるいは還付=払いすぎた税金が戻ってくること)されるので確定申告する必要がありません。
ここで詳しくは説明しませんが、確定申告の手続きは難しいものではありません。もし難しいと感じる場合には、申告会場で作成のアドバイスを受けることもできますし、自分で作ったものを郵送することもできます。計算も四則計算ができれば問題ありませんし、所得税の確定申告をオンラインで作成する場合には自動計算してくれます。
手続きの具体的なステップ
所得税の確定申告を行う場合には、住所利管轄の税務署が提出先となります。提出期限は翌年の2月16日~3月15日になっています。申告書は税務署で直接受け取るか、国税庁のHPにあるPDFファイルをダウンロードすることで入手できます。申告書を作成する際には、国税庁HPでオンライン作成をするか、手書きで作成を行います。提出は持参して提出、郵送、オンラインでの提出が可能となっています。
必要書類についてですが、収入を証明する際に必要となる基本的な書類は、給与所得の源泉徴収票、報酬や契約金を受け取った時の支払調書です。また、控除の証明のために用意する書類ですが、保険金の払い込み証明書、社会保険料払い込みの証明書等です。この他、必要に応じて配偶者の所得証明、医療費の領収書などの書類が必要になることもあるので、必要に応じてこれらの書類を準備すると良いでしょう。
個人事業税(事業所得が290万円以上の方)
個人事業主は、「所得税」や「消費税」とは別に「個人事業税」を納める義務があります。「所得税」と「消費税」は国に納める国税ですが、「個人事業税」は地方に納める地方税です。個人事業税自体の申告は必要ありません。毎年3月15日までに所得税の確定申告を行うと、税務署が地方自治体に申告をし、そこで計算された個人事業税の納付書が送られてきます。そのため、自分で計算する必要はありません。個人事業税は、以下の式で算出します。
(収入 − 必要経費 − 専従者給与等 − 各種控除)× 税率 = 個人事業税
1年間営業を行った場合には、事業主控除として290万円が控除されます。そのため、年間の事業所得が290万円以下の場合は、個人事業税もかかりません。個人事業税の税率は業種によって異なり、3%〜5%ですが、ほとんどの業種は税率5%です。
税率が3%の業種は、あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業と装蹄師業。税率が4%の業種は、畜産業・水産業・薪炭製造業。その他、多くの業種は税率5%。個人事業税の課税対象にならない業種もありますが、ほとんど多くの事業は課税対象です。
手続きの具体的なステップ
個人事業税は8月と11月に納付します。確定申告を出していれば、8月に都道府県税事務所から納税通知書が送られてきます。納付方法は、お住まいの市町村役場ほか、口座振替、コンビニエンスストアなど、詳細は納付書をご確認ください。消費税(2年前の売上高が1,000万円以上の方)
消費税の納税義務は、年間の合計収入金額が1,000万円を超える場合に発生します。しかし開業してから2年間は原則、消費税の納税が免除されます。そのため、開業1年目、2年目に売り上げが1,000万円を超えたら、その翌々年度から消費税を納めることになります。課税の対象となるのは、「売上」で、「所得」とは異なり、経費を差し引いた金額ではないことに注意してください。
まとめ
年金・保険・税金についてご紹介してまいりました。1年目は苦労するかと思いますが、徐々に心理的負担も軽減していきます。ぜひこの機会にすべて理解しておきましょう。最後になりましたが、本サイトを運営しているポテパンフリーランスは、フリーエンジニアのみなさんに案件を紹介するサービスとなります。業界のプロに案件探しを手伝ってもらったり、お金の面ふくめ、独立の相談をされたい方は、ぜひ下記からお申し込みくださいませ。
無料登録はこちら