何となく自由、何となく束縛されないというイメージのある自由業、具体的にどんな仕事?となると、難しいですよね。何が自由なのか分からない、よく似た言葉の自営業と何がちがうのかもよく分からない、そもそも自分にできるかな?などなど。そこで今回は、遠い世界のようで意外と身近な職業形態、自由業について解説します。
決まった時間に出社して、毎日同じような作業をして、そして決まった定時に帰る、そんな生活に飽きた!という方、必見です。皆さんにも手が届くものが見つかるかも知れませんよ!
目次
自由業とは
まずは自由業とは何を指すのか、それから自営業やフリーランスとどうちがうのかを見てみましょう。
自由業とは
自由業とは、一般的に勤務時間や勤務場所、雇用形態に束縛されない働き方をする人を指します。いつ働いても、いつ休んでもいい、そして自分のやりたくない仕事はしない!といった、自身で仕事の調整ができるのが「自由業で働く」ということなのです。一般的に自由業とは、高い専門性や独創性、特技、取得が困難な資格を有するものが多いのです。自由業は英語で「liberal profession」といいます。プロフェッショナルっぽい響きを持つのも何となくうなずけますね。
自営業・フリーランスとの違い
自由つながりで自営業やフリーランスという言葉を連想してしまいますが、これらは自由業とはちがいます。自営業とは、自分で会社や店舗を経営することを指します。経営者と自営業はほぼ同等です。自営業は自分で経営している会社や店舗に出社して仕事をしなければいけません。ここが自由業とのちがいです。自由業は場所や時間に束縛されないという定義がありますので、自営業と自由業はちがうということになります。
では自由業はフリーランスとはちがうのでしょうか?
この両者は同じところはたくさんあります。特定の会社や個人と雇用関係を持たない、高い専門性を要する、などです。ちがうのは、フリーランスとはいえ客先常駐案件を受注すると、定時に出社で定時に退社かつ同じ勤務場所といった、ほとんど会社員と変わらない就業形態になってしまいます。
在宅案件だったとしても、契約期間中は作業量的に他の案件ができなくなる、つまりある一定期間束縛されてしまうことが多いのです。これも自由業とフリーランスの異なる点です。
自由業のメリット
自由業のメリットは、やはり何といっても「自由」それに尽きます。何が自由なのか、掘り下げて考えてみましょう。
通勤不要、時間や場所も自由
自由業は、成果物さえ期限に納めればいつ仕事してもよいのです。通勤で満員電車に揺られる必要もなければ、朝に無理して起きて決まった時間に出社する必要もありません。通勤に充てていた時間を二度寝や自己学習に充てることも可能です。場所を限定しないというのも見逃せないメリットです。
自宅でもカフェでも、最近はやりのシェアオフィスやコワーキングスペースでも、もっと離れて海外や地方の農村でも仕事ができます。インターネットさえつながっていれば、自由業はありとあらゆるところがオフィスとなるのですから。自宅で仕事をしたい、または田舎暮らしをしてみたいという方に自由業は適しているといえますね。
わずらわしい人間関係も不要
自由業は、成果物を納めることがすべてです。人間関係は何も考慮する必要はありません。人間的に苦手な上司や、言うことを聞かない部下やメンバーもいません。関係会社や自社のキーパーソンに根回しといった、いわゆる仕事そのものに関係ないことで振り回されることはないのです。人付き合いに苦労してきた方にはうれしいメリットです。幅広いスキルが身につく
自由業において、仕事の選択は自分自身に委ねられています。自分自身の得意分野の仕事を請け続けても良いのですが、それ以外に自分の興味のある分野に挑戦することだってできます。あくまで自己責任になってしまいますが、未知の領域の仕事に挑戦し続けることによって、おのずと仕事の幅が広がるのです。仕事の幅が広がるということは、それだけ案件の選択の幅が広がるということになります。
ライフスタイルに合わせた働き方ができる
人によって、ライフスタイルはさまざまです。仕事ができる時間もさまざまです。小さい子供がいる人なら、朝に幼稚園や保育園に子供を送り届けた後、子供が帰宅するまでは仕事ができます。夜は、子供が寝静まれば仕事を再開できます。介護が必要なお年寄りの家族がいる人なら、デイサービスに送り出した後に仕事ができます。
朝起きるのが苦手で、その代わり夜に集中できる人もいるでしょう。
正社員にも在宅で仕事をしてよいという会社も多くはなってきましたが、まだまだ少数派です。よって、正社員にとって前述したようなライフスタイルにあった働き方はまだまだ難しいといえます。
一方、自由業は時間的な束縛はまったくありません。人によって異なるライフスタイルに合わせて、働き方を柔軟に変えることができるのです。
収入UPのチャンスも
正社員なら、会社内に昇格・昇給規定があり、規定を満たせば収入UPとなります。中には手間のかかる昇格試験をクリアして初めて昇格・昇給といった会社もあります。一般的に正社員が収入を上げるのは面倒なのです。よって不器用で優秀な社員より、根回しや人当たりだけがよい人が先に昇格するといった理不尽さもあります。一方、自由業ではそんなことはまったくありません!完全な成果物評価で、成果物の品質が高ければ収入は上がる、ただそれだけです。成果物だけで評価されるので努力は一切評価されないという厳しさはありますが、がんばればそれだけ収入が上がるというのはうれしいですね。
自由業のデメリット
ここまでは自由業のメリットばかりを上げてきましたが、今度はデメリットも見てみましょう。
収入が安定しない
自由業は仕事の成果がすべて、これが今度は自由業の厳しさに直結します。仕事を継続して得られれば問題ありません。しかし仕事が途切れれば、その瞬間から無収入になります。まったく、1円たりとも入ってきません。自由な側面と無収入とが表裏一体となっているのです。会社員なら仕事や収入は確保されますが、自由業はそうはいきません。
雇用関係がないというのは、言い換えればどこの誰も収入を保証してくれないということでもあるのです。
財務や総務の知識も必要
仕事した対価としてお金がもらえます。そこまでは自由業、会社員問わず同じです。会社員ならせいぜい納品処理をして伝票処理する程度でしょう。ところが、自由業はそれだけでは終わりません。そう、経理的な仕訳や確定申告があるのです。1月1日から12月31日の、成果物を作成するのにかかった費用や得た報酬をすべて記帳して、2月〜3月の間に所轄の税務署に確定申告をします。会社員以外の働き方を選択する上で、これは避けて通れない道なのです。
同僚がいない
同僚がいない、これは予想以上につらい現実なのです。朝出社したときに「おはよう」という相手がいない、切磋琢磨する相手や相談する相手、失敗したときになぐさめてくれる相手、一緒に飲みにいって愚痴を聞いてくれる同僚がいないのです。自由業に限らず個人事業主といった、いわゆる単独で仕事をする人たちに共通する悩みでもあります。自由を手に入れた代償として、孤独を受け入れなくてはなりません。
自由業に多い職業
勤務時間や雇用形態に束縛されない、というのが自由業の定義でしたね?では、その定義に当てはまる職業を順に上げていきましょう。ただし、高度な専門性や取得の困難な資格が必要なものというより、「これだったらできそうかも?」というものから解説します。
ところで何がお得意ですか?
皆さんは、何が得意ですか?そう聞かれて「コレが得意!」と即答できる方はそうそういないでしょう。大体の方が「うーん仕事が忙しくて、得意スキルをみがく時間なんてなかったんだよね」「スキルっていってもテレビ見てゴロゴロしながら俳優の文句言うくらいかなあ」そうお答えでしょう。でも、その「仕事」「俳優の文句」に可能性があるのです。
不特定多数の人から力を借りて、その対価として報酬が支払われる「クラウドソーシング」という仕事の形態があります。クラウドソーシングというキーワードでググってみてヒットするサイトにアクセスしてみてください。この手のサイトは、大体仕事がカテゴライズされていますので、試しに「ライティング」を選んでください。
何が出てきますか?
「あなたのお仕事について書いてください」「あなたの好きな俳優について書いてください」その他多数、しきいの低そうでかつ初心者でもできるとうたっている案件は多数あります。
あなたが自身の「どうでもいい」と思っているスキル、もしや求める人がいるかもしれません。そんな気持ちでコレ以降を読んでみてください。
ライター
ライターといっても、そのジャンルや納品先によってさまざまです。最近よく聞くのがWebライターです。Webライターは文字どおりWebを媒体とします。Webライターのジャンルは猛烈に広く、定義がしづらいくらいです。比較的門戸の広いジャンルの例として、以下のようなものがあります。クラウドソーシングのサイトにて、最近募集があったジャンルを上げてみます。
商品紹介/テレビドラマやアニメ、マンガの感想/恋愛ネタ/転職の体験談、失敗談/オススメのパワースポット/仮想通貨や投資一般/保険/留学/アクセサリー・コスメ/ダイエット/健康食品/その他多数皆さんにも手が届きそうな案件、きっとあるはずです!クラウドソーシングのサイト、ぜひ一度のぞいてみてください。
ITエンジニアの方々には、技術的ライティングはいかがでしょうか?
IT系の技術記事を書くライターです。この種のライターが手がける記事は実に広いです。現役エンジニアやこれからITを学習しようという初学者向けなどに、本格的技術系記事を書きます。プログラミングやデータベース、インフラ系などなど。
その他、ITを取り巻く求人事情や技術トレンド、IT製品(アプリやミドルウェア)の試用レポート、IT系イベントのレポート、さらにQiitaやGithubに記事やソースを載せているエンジニアへのスカウトメール、資格取得者へ向けた模擬問題や解説、テクニカル翻訳などなどがあります。
趣味が高じてWebライターに、さらにそれが出版社の目に触れて、紙媒体での執筆依頼をゲットした人もいます。
ライターとして生計を立てている人の中には、最初からライターとして身を立てる!と意気込んでなった人というより、むしろ副業でやっていたら本業の収入を超えてしまったので独立しましたという人の方が多く見られます。
ブロガー
ブロガーは、日常生活で起こったことや感じたことをブログにしてアップし、記事を訪れた人の数に応じた広告収入を得ている人のことです。ブロガーはのちに出てくるユーチューバーとはちがい、自分のブログサイトを立ち上げて運営しています。アメブロはどちらかというと芸能人がよく使い、プロのブロガーはWordPressやはてなブログ、ライブドアブログを使います。ブロガーの間では、若干の技術力が必要ながら自由度の高いWordPressの人気が高いようです。
ブロガーの収入源は、ブログに広告を貼り付けてクリックされるたびに報酬が発生するGoogleAdSenseや、その他ブログを経由して商品を買ってくれたら何%かが入ってくるアフェリエイトなど、広告による収入が大半です。その他ブログを見た企業が、記事作成を依頼してくるといった広告に派生した仕事もあります。
先のライターと同じく、ブロガーの多くは元から「ブロガーを目指すぞ!」とがんばった訳ではなく、別の目的でブログをやっているうちに楽しくなって、結局ブロガーとして独立したという人が多いのです。
ユーチューバー
ユーチューバー、もう皆さん十分にご存知でしょう。HIKAKINやはじめしゃちょー、2017年のAbemaTV企画「亀田興毅に勝ったら1000万円」企画で死闘を繰り広げたジョーブログなどなど。皆さんもお気に入りのユーチューバーがいるのではないでしょうか。今や年収は億単位と言われるまでになったHIKAKINは、元々は地元の新潟から上京し、スーパーの店員として働いて生計を立てながら動画をアップしていたというのは有名な話です。
ジョーブログにしても、最初の動画は「カッコいい自転車の乗り方」というよく分からない動画が最初だそうです。ところが今や自伝まで出す有名なYouTuberになりました。
やはり、有名になってそれだけで食べていけるようになるのは時間と努力が必要なようです。
YouTuberが自分の収入を公表することはYouTubeから禁じられていることから、正確な値は分かりません。ただし、大半のYouTuberが同世代のサラリーマンに遠く及ばない年収だそうです。高額の報酬を得られるのは、ほんのひと握り・・・
とはいえ、単にゲームを動画化してアップするだけでもお金になるとすれば、ちょっと考えて見たくなりませんか?
その他高度な技術を要するもの
上記以外で、自由業の定義に当てはまる職業を見てみましょう。「ああ、コレも自由業に入るのか」といった気持ちで見てください。もちろん働き方によって時間に束縛されることが出てくるため、厳密な定義ではありませんが。弁護士/投資家/作家(小説家・脚本家・マンガ家)/写真家/ミュージシャン/ネットショップ経営/コンサルタントどれを取っても高度な技術を必要とする職業ながら、一度その地位を築くと継続して高額な報酬が得られそうな職業ですね。
自由業に資格は必要?
基本的に自由業は「そう名乗れば自由業」なので、資格はなくてもよいのです。しかし考えてみてください。あなたが仕事を依頼する側だったとしたら、自称自由業者に仕事を依頼するでしょうか?やはり何らかの「実力の証明」が欲しいですよね。
記事の執筆を依頼するのに弁護士免許は不要です。しかし法的な助けが欲しいときは、やはりただの物知りより弁護士に依頼します。よって、何らかの高度な資格を保有することは、自由業への近道といえます。
自由業を始めよう!
本記事では、自由業とは何かを解説しました。皆さんにできそうなものが見つかりましたか?何もいきなり会社を辞めましょうという訳ではありません。おこづかい稼ぎ程度に何か始めてみませんか?本記事で触れた自由業はほんの一部で、まだまだいっぱいあります!できそうな簡単なもの、またはあなたにしかできないもの、探してみてはいかがでしょうか?