働くということは、何も会社や組織に属するばかりではありません。最近では「フリーランス」という働き方を選択する人も増えてきています。ただ、何となく「フリーランス」という言葉に聞き覚えがあるものの、その実情について詳しく知っている人は実はそれほど多くないのではないでしょうか?そこでここではフリーランスの実態について詳しくご紹介します。
目次
フリーランスとは
フリーランスとは
フリーランスとは、会社や組織に所属せずに仕事単為で契約を結ぶ、いわゆる業務委託形態での働き方のことです。フリーランスという言葉は英語の「Free(拘束されない)」と「Lance(槍)」を組み合わせたものです。
フリーランスの語源は中世までさかのぼります。戦争の頻発していた当時、王侯貴族は傭兵と契約し自身の戦力として戦争に臨んでいました。その頃の主兵力であった槍騎兵は、従卒として歩兵や弓兵を連れていることが多かったため、槍の本数を1戦闘単位として契約を結んでいました。
そしてまだ契約が結ばれていない傭兵のことを「FreeLance(拘束されていない槍)」と呼んでいました。時は流れて近世以降になると、傭兵を表していた「FreeLance」は契約形態を表す言葉へと変化し、特定の組織や団体に属さない働き方のことをフリーランス、そのように働く人々のことをフリーランサーと呼ぶようになったのです。
個人事業主・自営業との違い
会社や団体、組織に属さずに働いている人のことを「個人事業主」や「自営業」と呼ぶことがあります。フリーランスと個人事業主・自営業の違いとはなんでしょうか?「フリーランス」とは契約形態のことを指します。企業や団体と雇用関係を結ぶのではなく、仕事単位で契約を結ぶ働き方のことをフリーランスと言います。
それに対し「個人事業主・自営業」とは税務上の所得区分のことを指します。法人を設立せずに自身で事業を行っている場合は個人事業主・自営業という区分に分類されます。ちなみに、会社を設立している場合は「法人経営者」となります。
つまり、特定の組織に属さずに働いている人の総称が「フリーランス」で、その内会社を興していない人のことを「個人事業主・自営業」と呼ぶのです。
フリーランスはどんな職種の人がいるの?
フリーランスにはいろいろな職種があります。
ライター
フリーランスの職種の中でも最もメジャーなのが「ライター」でしょう。雑誌や小説など、紙媒体への執筆を主体としたライターの他、最近ではWebに掲載する記事を作成するWebライターも増えてきています。紙媒体のライターの場合、報酬は記事単位とするのが一般的ですが、Webライターの場合報酬は文字単価となります。1文字0.5~1.0円程度が相場で、文字数が多ければ多いほど報酬が高くなります。紙媒体のライターは執筆作業の他に取材などが必要になることも多く、そのため収入はWebライターに比べて高い傾向にあります。
仕事をするのに特別な資格や設備が不要なため、フリーランス初心者やすきまワーカー、学生や主婦にも人気の高い職種です。
エンジニア
エンジニアにもいろいろな種類がありますが、中でもフリーランスに適しているのがプログラマーです。特にJavaScriptやPHPなどを使用したWebプログラミングはフリーランスの需要の高い仕事です。一般的なプログラマーの収入は300~500万円ほど、フリーランスとして順調に仕事を得ることができればそれよりも多少収入は上がり、400~600万円ほど、中には10,000万円近く稼ぐフリーのプログラマーも存在します。
プログラミング業界は日々技術が進歩しているので、常に高い需要を得るためには業界のトレンドをチェックしつつ積極的に新しい技術を習得することが大切です。
下記の記事では、フリーエンジニアのメリットとデメリットを詳しくご紹介しています。
参考記事:フリーエンジニアになるメリットとデメリット
デザイナー
デザイナーもフリーランスとしてはお馴染みの職種です。デザイナーにもファッションデザイナー、インテリアデザイナー、ゲームデザイナーなど様々な職種があります。フリーランス人口としては「Webデザイナー」「グラフィックデザイナー」が多くなっています。WebデザイナーはWebサイト全体のデザインを行う他、JavaScriptなどのWebプログラミング言語を用いてフォームの作成などコーディング作業を行うこともあります。Webデザインだけであれば単価は5万円前後ですが、コーディングまで行う場合は10万円以上となることも珍しくありません。
グラフィックデザイナーはWeb・紙といった媒体を問わず文字や画像、イラストを組み合わせたデザインを作成します。単価はデザインの対象によって大きくことなり、バナーやロゴのような小さいものであれば5000円~1万円ほど、チラシなどは2万円前後となっています。
また、依頼元の企業規模や知名度によっても単価は大きく変動し、同じロゴデザインでも有名企業からの依頼であれば100万円近い単価となる場合もあります。
下記の記事では、フリーランスWebデザイナーの仕事の獲得方法や、必要なスキルをご紹介しています。
参考記事:フリーランスWebデザイナーになるには?その方法や必要なスキルをご紹介!
フリーランスの人ってどれくらいいるの?
クラウドソーシングサイトを運営するランサーズの実施しているフリーランス実態調査によると、2017年のフリーランス人口は1,122万人、これは日本の労働者の17%に当たります。2016年の1,064万人からは5%の増加という結果となっています。
特に大きく増加したのは副業としてフリーランスの仕事を行う「副業系 すきまワーカー」と呼ばれる人々で、2016年から10%増の458万人となっています。フリーランス人口全体の中でも「副業系 すきまワーカー」の割合はもっとも大きく、41%を占めています。
フリーランスのメリット
フリーランスには会社員にはない多くのメリットがあります。
スキル次第で高収入のチャンスが
会社員の場合は勤続年数や学歴などである程度年収は決まっています。またどんなに高いスキルを持っていても、どんなに優れた仕事をこなしてもそれによって追加の報酬が得られることはほとんどありません。一方フリーランスはスキルの高さや仕事の内容がそのまま収入に結び付きます。スキルを高めれば高めるほど、収入アップにつながるので高いモチベーションを維持することができます。働く時間・場所が選べる
中には企業に常駐して働くフリーランスもいますが、一般的にフリーランスの労働は時間や場所に縛られることがありません。低血圧で朝が弱い人は夜に働く、混んでいる土日ではなく平日に休みを取る、目が離せない小さな子供がいるので完全在宅で働くなど個人のライフスタイルや状況にあったワーキングスタイルを採用することができます。フリーランスのデメリット
魅力的なメリットのたくさんあるフリーランスですが、注意すべきデメリットもあります。
仕事探しが大変
フリーランスになったら自分自身で仕事探しを行う必要があります。仕事探しの方法は様々ですが、契約した仕事をこなしつつ契約終了に備えて常に次の仕事を探さなければなりません。友人やフリーランス仲間、古い顧客など仕事の紹介を受ける伝手があればまだしも、それらが全くない状況では自ら顧客を探し、営業活動を行い、単価交渉をする必要があります。
固定客が付きフリーランスとしての活動がある程度軌道に乗るまでの間、仕事探しの負担はかなり大きなものとなるでしょう。
しかし、せっかくのフリーランスですので、あなたのやりたい方法で仕事を探して、あなたにぴったりの仕事を見つけましょう。
関連記事:フリーランスの仕事探しってどうやってるの?ポイントを解説します!
税金関係など仕事以外の知識・業務も必要
フリーランスは顧客から依頼された仕事だけをこなしていればいいというわけではありません。会社員であれば会社が代行してくれていた確定申告などの税金関連手続きはすべて自分で行う必要があります。また請求書の発行やオフィスの管理、経費の精算などといった事務的な業務も対応しなければなりません。そのためには簡単な経理の知識が必要になります。
特に、確定申告の手続きはいろいろな準備が必要となるため、気づいた時には申告期限に間に合わない!という事態になりかねません。いざという時に困らないよう確定申告についてしっかりと理解しておきましょう。
参考記事:フリーランスが知っておくべき確定申告のあれこれ
フリーランスの仕事の探し方
フリーランスはどのように仕事を探せばいいのでしょうか?
顧客、友人、仕事仲間からの紹介
現役のフリーランスの仕事探しの方法の中で最も多かったのが「他者からの紹介」です。紹介を受ける相手はかつて依頼を受けたことのある顧客であったり、友人であったり、また同業種・他業種のフリーランス仲間であったりと様々です。紹介を受けるためには顧客からの高い信頼を得る、普段からフリーランスや 同業種のコミュニティに積極的に参加するなど人脈作りが欠かせません。
貴重な機会を逃さないよう、紹介を受けるための土壌づくりを丁寧に行うことが大切です。
エージェントサービスを利用する
エージェントサービスは仕事の紹介を受けられるサービスです。営業活動をしなくてもスキルや希望に応じた仕事の提案を受けることができるため、効率的に仕事を獲得できます。またエージェントサービスでは有名企業や大企業からの仕事の依頼も豊富で、高単価案件の獲得のチャンスも広がります。さらに仕事単位の契約ではなく会社と短期契約をすることになるため、安定した収入を得ることができます。
エージェントサービスを利用すれば仕事の紹介だけでなく、カウンセリングや面倒な契約処理の代行といったサービスまで受けられるため、営業活動に不安のある方は是非利用するといいでしょう。
クラウドソーシング
発注者と受注者のマッチングサービスであるクラウドソーシングは、近年国内でも多くのサービスが展開されています。常に多くの案件がクラウドソーシング上でやり取りされているため受注がしやすく、契約処理もWeb上で完結できるため書類作成等面倒な手続きが不要というメリットがあります。
一方でクラウドソーシング上でやりとりされる案件のほとんどが仕事単位の契約であり、単価も低い傾向にあるため安定した収入が得にくいというデメリットもあります。
パートナー契約をする
企業や個人とパートナー契約をすることで、パートナーに来た仕事の依頼を受けることができるようになります。通常個人で受注することの多いフリーランスですが、パートナー契約を結ぶことでチームで仕事を受けることができるようになり受注できる仕事の幅が広がる他、相談や協力ができるなど心理面でのメリットもあります。ただし、パートナー契約をする上でのルールに従う必要がある等、フリーランスの魅力である自由度は若干制限される可能性もあります。
まとめ
フリーランスという言葉の起源からその働き方、職種やフリーランスの現状について詳しくご説明してきました。収入が安定しないというデメリットがあるものの、能力に応じた収入が得られる点や働き方を自分で決めることができる点などフリーランスになることのメリットはとても大きなものです。会社勤めに働きにくさを感じている人や働きたいと思える会社がない人などは、フリーランスになることも選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか?